2016年12月 YOUはどうしてモロッコへ6-フェズで寝ながら大門のことを考える-＠1st

明日晴れたらいいね？はあ？晴れるかなんてわかんねえ。

夕飯を食べ終わった後はホテルに戻ります。

つかまだ２日目なのに、一人旅なのに、超絶濃厚。

人生でこんなに知らない人と喋ったこともないし、英語でやりとりしたこともない。

なのになんとなく全て成立しちゃってる。インキャの私には、一人でこんなに異国を楽しめていることに感動すら覚えてる。

それと同時に。

初体験が多すぎて、冷静になれてないことも感じてる。要はカオス。 安直な表現だけど、なんっていうか、自分の今までの価値観が爆音立てて崩れ去っていってるのを感じる。 こんな旅をするつもりじゃなかったのにな。 静かに景色を眺めながらこれからの自分の人生の行く末なんぞを考えるつもりだった。 モロッコは自然が豊かって聞いてたから。 会社のストレスから逃げ出して、 異国に身を置いて、 自分ととことん向き合うつもりだった。

なのに今自分が向き合ってるのは明るい下心をもったモロッコメンズたち。 金づるとしてしか私を見ていないの隠すつもりもなく、こっちの都合なんてお構いなしに私を褒めちぎってくる。流石にそれを真に受けるほどおぼこい自分ではないけど、、、こんだけ構われたら、、、 女性ホルモンですぎて早めの更年期になりそう。やれやれ、とにかく疲れたぜ。 布団に入りながら、興奮冷めやらず眠れない。

羊を数える代わりに…フェズにつくまでの大門との話を思い出す。

前日のおっさん丸出しの下ネタ野郎モードはどこへいったか、 車の中では比較的静かな大門。 旅では物思いに耽るのも目的の一つにあげてる私とて、そんなにペロンチョ話したりはしない。 しかし…大して心を許してもいない人との密室車中にストレス、超絶ロングな沈黙に耐えられない典型的日本人の私、全くの丸腰、作戦なく世間話を大門としてみようチャレンジを突如始めたのですた。

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ！！！！！！

私はね、いわゆる雑談をカジュアルにしたかっただけなんす！

「明日晴れるかな？」

「そうだね、晴れたらフェズの散歩もしやすいもんね」

…程度の会話のキャッチボールを想定していたんです。本気で明日の天気を知りたいー知りたいーまじ！！！ なんて誰も思ってねーっつの。 なのに大門も口から返されたのは、悪送球も真っ青、送球じゃなくていきなりバット持ち出してノック始めた感じ！

インシャッラーだから！

はあああああああああああ？ 初対面に等しい私のお客の私に全く気遣うこともなく、 てめえの宗教感による一方的な暴言ぶっ込んできやがった。 ねえ、それ聞いて私はなんて返事すれば良いわけ？そうですな、明日は雨でも晴れでも良いですな。はっはっは！ …って何それーー！なら初めから話すなってか？はあああああああ？ 全くの想定外の方向からの回答に私は本気で目ん玉ひん剥く思いでした。

、、、でも、、、なんだろう。

大門、相手に合わすとかしない人なわけ？本当に自分に正直に生きてる人？本気で自分が答えるべき内容を 空気読むとかしないでやる人？？ ひゃーーーー 珍しい！ってこれは大門だからなのか、モロッコ人の気質なのか。

面白えええええええええええ。

その裏返しになるけど、大門の発想がおもろーってことなら、実は私が相当つまんねーやつってことじゃないのかな。 内容なんて二の次で、気まずい車中を意味のない音声でその空間を埋めたかっただけなんて。 私のその「元から話す気ない。」って態度の方が、本当の意味で失礼なのかも？

…なにこの価値観。 意味不明。 ってこんなん初めてすぎる。 シャウエンの街も美しさよりも、大門から透けて見えるモロッコ人という存在の方にすごい心を動かされてる。 そんな事実に自分の戸惑いを隠せないまま、 ほとんど眠れず布団の中で丸くなるしかない私だったのです。